


チャレンジ!特別仕様のパウダー缶
2006年11月末、いつもの作業をこなしているとお客さんから一本の電話がきました。
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お客さん:「いつもお世話になってます〜!今日はちょっと聞きたいことがありまして・・・御社のパウダー缶ってありますよね?」
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私:「あ、どうもお世話様です。はいはい、小さいのから大きいのまでいろんなサイズがありますよ!」
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お客さん:「そのパウダー缶なんだけど、フタのアミの目がもっと細かいのってできませんか?」
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私:「え?もっと細かいってどのくらいでしょうか?今の通常のパウダー缶は30メッシュなんですが、昔40メッシュってのをやってました。それでよければサンプルは作れますけども。」
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お客さん:「いや、40でも大きいらしいんですよ。一応、65メッシュでもまだ大きいって言ってるんですよね〜」
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私:「はぁ・・・」
(一応相槌を打ちながら、頭の中では「40より細かいアミなんてあんのかよ?」と思いました)
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お客さん:「それで、もっと細かいタイプが作れるかどうか?もしできるようならどのくらいまでできるのか?そして作るにあたって最低の注文数量(ロット)はどのくらい以上ならできるのか教えてもらえません?」
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私:「はぁ・・・」
と返事にもならない返事をしながら頭の中ではこんなことを考えました。
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困ったねぇ・・・アミはいつもステンレスの材料屋さんに頼むけど、一回頼むときはだいたい5000個分くらい頼むからなぁ。こういった話の場合、だいたいは数が少ないのがよくある話(数十個〜数百個くらい)なので、最低5000個なんて言えばお客さんガッカリだしなぁ。でも細かいのもアミさえあればできるんだろうしなぁ・・・といろいろ考えているうちに(この間約10秒)実験してみたくなってきた。
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私:「分かりました。アミがどのくらいの細かさまであるのか?最低数量など一応調べてご連絡致します」
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お客さん:「すみませんね。よろしく〜」
・・・ということで、特別細かいアミのパウダー缶を作ってみることにしました。
網を調達
とはいっても、問題はアミの調達。いつもの材料屋さんに言っても恐らくは調達できないだろうと思われる。
こんなときこそインターネットの恩恵にあやかれる時。
さっそく検索検索・・・ここはどうかな?というアミ屋さんを見つけることができ、さっそくフォームで問い合わせを送って待つこと半日。
早く返事が来ないかな?と30分おきにパソコンの受信トレイを見ていると、そこに一本の電話が鳴り、出てみると聞き慣れない関西弁まじりの声で、前述のアミ屋さんでした。
おぉ!こんな町工場の問い合わせにちゃんと対応してくれてる。うれしいなぁ。
数分のやり取りの後、今使っているアミよりも細かいものをサンプル的に少量だけ分けていただくことができました。
何せ、モノが小さいので少しの材料でも数十個できるわけで、でも今回はチャレンジ!ってことで作るので少しでいい・・・こういう時こそインターネットっていいな、と。
網が届く

その翌日、注文したアミが届きました。取り寄せたアミ材料は以下の4種類です。
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60メッシュ(線径0.19mm)
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80メッシュ(線径0.14mm)
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100メッシュ(線径0.10mm)
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150メッシュ(線径0.06mm)
どのアミも、今まで使っていた30メッシュがすごく粗く思えるほど、意外に細かいものです。150メッシュに至っては「よくぞここまで」といった感じで、金網というよりは布のような印象です。
「網」を丸く打ち抜く
さて、このアミを実際に「パウダー缶」とすることができるのか?さっそく実験開始! パウダー缶のフタの構成部品は、枠とアミの2つ。
枠にアミを引っ掛けながら引っ張りながら枠をつぶす(?)というわけの分からない複雑な感じで作ります。
枠にアミを仮組みするために、まずはアミを金型で丸い形に打ち抜きますが、この工程であまり線径の細いアミは金型で打ち抜くことすらできない懸念がありました。今回の例では、100メッシュ(線径0.1mm)や150メッシュ(線径0.06mm)がそれに当たります。
実際打ち抜いてみると、やはり60メッシュ、80メッシュは丸い形に完全に打ち抜けましたが、100メッシュは微妙な感じ、150メッシュはアミの線が数本つながったままになり、金型から出したあとでハサミなどで切ってやる必要がありました。
打ち抜いた網を枠に仮組み
次に、丸い形のアミを枠に仮組みですが、これはひとつひとつを手作業でアミを枠の隙間に押し込んでいきます。
これを押し込むときに、通常のアミ(線径0.22mm)であれば押し込むとアミの線一本一本は曲がったままになって枠から外れてきません。

ところが今回のアミ、これまた100メッシュと150メッシュは手触りに加えて特性も布のような感じで、押し込んでも元に戻ろうとします。
元に戻ったままで枠を成形するとどうなるか?アミの耳がはみ出て、写真のようにはみ出てしまいます。
ということで、この工程は1個当たりでいつもの3倍くらい手間がかかることになってしまいましたが、暴れるアミを何とか枠に仮組みし、成形。ただ金型に乗せてやるだけなのでそんなに難しいこともないと思いましたが、やはり線径が通常よりも細いことでアミの張り具合を調整することが必要でした。
何とか出来上がり

結局、朝9時に作業開始してから4種類、80個の特別仕様のパウダー缶(のフタ)が出来上がるまで午前中を丸々費やしてしまいましたが何とかカタチになったフタを記念撮影。
午後からお客さんのもとへお届けにあがって一件落着。
これでちゃんと注文がくれば万歳ですが、結果はまだ分かりません。
これにより、特別仕様のパウダー缶は「150メッシュ」まで可能なことが実証できました。めでたし、めでたし。