実際の絞り加工は
実際に加工したものを見てみましょう。
下の写真は、当社主力製品の最初の絞り工程です。左の状態の材料を金型に入れて加工しますが、右のような状態になるまで3秒ほどです。
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前ページで考えた他の加工方法との決定的な違いはここにあり、左の写真は元の板材を円形に打ち抜いたものですが、打ち抜く時間を仮に3秒、絞り加工のための油を塗布する時間(塗油専用機でやっています)を3秒、その他材料を手に取ったり金型に入れたりする時間をプラスしても、ここまで短時間で一気にこの形状にできるのはプレス絞り加工ならでは、ではないかと思います。
プレス絞り加工を行う上でなくてはならない「金型」は、簡単にいうとダイ(雌型)・パンチ(雄型)・シワ押さえで構成されます。
ダイとパンチの間に材料を置き、パンチをダイに向かって押し込んでいくと、材料はダイに押し込まれる形で変形していく、というわけです。
押し込まれていく時、外側にある材料がシワになってしまうのを抑える目的でシワ押さえが必要で、これによって材料を押さえながらダイに押し込んでいくような感じです。
このように書くと、何か紙やビニールを吸い込ませるような感じをイメージしてしまいそうですが、実際は何の変哲もないステンレスの板です。それなりの硬さがあり、もちろん普通のハサミで切れるようなものではありません。
図解:絞り加工
以下、板材を器状にするプレス絞り加工の一部始終を分かりやすくイラストにしたものです。
イラストでは前述のダイ(雌型)は上型のことです。

絞り加工説明1
- 上型と下型(パンチとシワ押さえで構成される)の間に加工油を塗布した材料を置きます。
- パンチは固定されていて下がらない状態ですが、シワ押さえは別の制御装置により上方向に持ち上げられた状態になっています。
- 材料に塗布しておく油加減が重要です。
- 油の膜は少なすぎ(薄すぎ)ては金型が焼きついたりキズが入ったりする原因になります。
- かといって多すぎ(厚すぎ)ると材料が滑ってうまく芯が出ず、加工後の製品の外周部の高さが偏る原因となります。

絞り加工説明2
- プレス機械を操作することで上型が下がってくると、シワ押さえとの間に材料が挟み込まれ、シワ押さえと一緒に押し下げられていきます。
- 材料は上型とシワ押さえで保持されたまま下に押し下げられていきます。
- パンチの位置は変わりません。

絞り加工説明3
- さらに下がっていくと固定されているパンチは上型に押し込まれることになり、上型とシワ押さえに保持されている材料は変形していきます。
- 上型とシワ押さえにはさまれている板材は徐々に上型に吸い込まれながらその直径が小さくなっていきます→その分が高さ(深さ)となって変形します。
- 材料はシワ押さえによって押さえられてはいるものの、厳密には表面に塗布された油の膜によって微妙に浮きながら滑っています。
- この油膜による滑り加減のコントロールが難しいところで、油の特性やシワ押さえ・上型の押す圧力、加工スピードなど、いろいろな要素が微妙に絡み合っています。

絞り加工説明4
- 絞り込まれていきながら直径が小さくなっていくので次第に上型とシワ押さえによって挟み込まれている材料の平面部分は少なくなっていきます。
- この状態までで絞り加工をやめれば鍔(ツバ)のある状態となり、渕を巻く(カール)ことで製品とすることもできます。
- 当社製品の水杓子や丸型調味料入れなどはこのようにして作られています。

絞り加工説明5
- さらに絞り込むと元の材料の平面部分は上型に完全に吸い込まれてなくなり、ストレート形状のものとなります。
- 当社製品の調味缶の本体やフタなどはこのようにして作られています。

絞り加工説明6
- 戻り工程。
- プレス機が上昇することで上型も上がります。
- 絞った製品は塑性変形しているので器状になってはいるものの、目には見えませんが元の板状に戻ろうとする力が働いているために、上型とともに上がっていきます。
- 実際には上型とともに持ち上がる製品を中から押し出す機構などが必要ですが、省略しています。

絞り加工説明7
- プレス機が最初の位置(上死点)に戻ったらまた最初からの手順で加工していきます。




