KASHIWA印の有限会社猪熊製作所
新潟県燕市桜町230番地3

さらに深く絞り加工する

1回絞り加工して器状になったものを、さらに絞り加工します。

前ページの加工で器状になっているものを、さらに深くするために2度目の絞り加工を行います。これも左の状態のものを金型に入れて加工しますが、右のようになるまで3秒ほどです。

もっと高さ(深さ)が必要な場合は、さらに絞り加工を行います。


金型は、基本的には前ページの1番目の絞り加工と同じくダイ(雌型)・パンチ(雄型)・シワ押さえで構成されますが加工前の材料の形状が1番目とは異なるためそれに合わせて金型の形状も違ったものとなります。


絞り加工説明1

  • 1番絞り後の形状に合わせた下型に材料をはめ込み、上型を下げます。
  • パンチは固定されていて下がらない状態、シワ押さえは別の制御装置により上方向に力がかかった状態になっています。

絞り加工説明2

  • プレス機械を操作することで上型が下がってくると、シワ押さえとの間に材料が挟み込まれ、シワ押さえと一緒に押し下げられていきます。
  • パンチの位置は変わりません。

絞り加工説明3

  • 上型が下がっていくとパンチが上型に入っていくのに合わせ材料も変形しながら吸い込まれていきます。
  • 直径がつまった分の材料は高さ方向に追いやられる形で深絞りとなります。
  • 1番目の絞り加工によって加工硬化が起きて材料は硬くなっています。
  • そのため、この2番目の絞り加工では硬い材料を絞り込んでいくために上型の角部分には相当なストレスがかかります。
  • ここで油が適切でなかったりすると金型が焼きついて製品にキズが入ったりします。
  • かといって最初に油をつけすぎると後工程に支障をきたすので、できるだけ少ない油で問題なく加工できるようにすることがポイントです。

絞り加工説明4

  • 絞り込まれて直径が小さくなりながら高さ(深さ)が伸びます。
  • この状態までで下死点(もっとも下がった状態)に設定すれば製品は鍔(ツバ)のある状態となり、この鍔を巻く(カール)ことで渕巻き製品とすることもできます。
  • 当社製品では、手付カップやソースポットなどがこうして作られています。

絞り加工説明5

  • 上型が上死点(もっとも上がった状態)に戻って深絞り加工終了となります。
  • この後、渕を加工するなどします。

絞り加工の回数を増やすことでさらに高さ(深さ)を得ることができますが、加工を繰り返すうちに塑性加工につきものの加工硬化も進んでどんどん硬く、絞込みにくくなっていきます。

この、加工硬化によって硬くなることを利用して、薄い板で丈夫な製品ができるわけで、当社製品の調味缶などはわずか0.4mmの薄さのステンレス板で作られていますが、その薄さからは想像できないほど硬くなっています。とりあえず、胴体部分を手で握ってつぶせる方はあまりいないのではないでしょうか?

話を絞り加工に戻しますが、前ページで一度に加工できる高さと直径の比率は1対1くらいが限界と書きましたが、それでもその限界近くまで加工しようとすると金型、油、機械の調整などがシビアになっていく特性があります。

したがって、あまりシビアすぎるのはかえってコスト高になるため、1対1というのはあくまでも理論上の限界であり、実際ではそこまで一度に加工せずに最初は0.5対1とかそれ以下にしておき、追い絞り加工で必要な高さ(深さ)にするのが一般的です。

このページの最初にある写真右側の製品くらいの高さであれば3回くらいに分けるのが普通ですが、同じ高さ(深さ)を得るのに工程数は少ないに越したことはありません。工程が少ないということは、それだけ金型数も抑えられ、機械の動く回数も抑えられ、(自動化していない当社では)一番コスト高の人間の手間も抑えられるので、1対1の比率を安定して実現できればそれほど良いことはないわけで、あえて少々シビアでも絞り回数低減のほうにこだわっています。

なぜそこまで絞り回数を低減にこだわるのか?

絞り回数低減を生かした製品>>>