絞り加工と表面荒れ
絞り加工を行っていくと、加工前の状態に比べて表面が荒れていきます。
製鋼メーカーのラインで圧延、表面仕上げした状態の材料は比較的均一な仕上がりとなっています。これを絞り加工すると、金属組織が揉まれて表面の状態が均一ではなくなっていきます。当社で絞り加工品を作るために使用するステンレス材の表面仕上げとして代表的なものとしては、
- 2B→グレーの半ツヤ消しのような感じ
- BA→表面がピカピカとして顔が映りこむような感じ
があります。
その他に、#400、#600など鏡面に近い仕上げや、HL(ヘアライン)といって一方向に目を通してある仕上げなどいろいろなものがあります。
どんな表面仕上げのものを使うかは、どのくらい絞り加工するのか=材料にどのくらいの変形を与えるかや、加工後の研磨仕上げをどんな風にするかによって違ってきます。
ここでは絞り加工と表面の荒れについて分かりやすくするために2Bという仕上げの材料を絞り加工したものを取り上げてみます。

写真1:元の材料表面(2B材)
- 加工前の打ち抜いただけの表面状態
- これに絞り油を塗布して、絞り加工を行います。

写真2:1回目の絞り加工後
- 写真1の材料を絞り加工したものの表面です。
- 左側が渕部分、絞り加工による変形量が多い方になります。
- 右から左にいくにつれて表面のザラザラ感が目立っており、絞りによって表面が荒れるのがお分かりいただけると思います。

写真3:2回目の絞り加工後
- 写真が若干拡大になってしまいましたが、写真2よりもさらにザラついた感じになっています。
- このように、絞り加工が進むにつれてザラザラになる感じを梨地と言っています。
- 梨地は渕に近付くほど荒れていますが、これは渕に近付くほど金属組織の変形の度合いが大きいことと関連があるように思います。
梨地ががよく分かる例としては、調味缶やお好み焼きソースポット、角たれ入れの本体内面部分が挙げられます。
外面部分は絞り加工による梨地を目立たなくするために荒ミガキし、その後電解研磨で仕上げていますが、内面は荒ミガキしないまま電解研磨にかかるために、2B材を絞り加工した時の梨地がそのまま残っています。

写真1:ソースポット外面部
- 外面は絞り加工したものを荒磨きした後で電解研磨しているため、隣のソースポットが映りこむような光沢があります。

写真2:ソースポット内面
- 内面は絞ったままの表面で電解研磨のみなので梨地がそのまま残っており、あまり映りこんでいないのがお分かりいただけると思います。

写真3:角たれ入れ
- 同じく角たれ入れです。
- 本体部分の外面は周りの黒いものが映りこんでいますが、内面は半ツヤのような感じであまり光沢がありません。


