ステンレスと磁性について
磁石がくっつかないのがステンレス!?
ステンレスか鉄か?を見分ける方法として、よく思いつくのが磁石です。磁石を近づけてみて、付けば鉄、付かなければステンレス・・・。しかし、磁石が付くステンレスも多く存在します。
たとえば、ステンレスの種類のところで出てきたSUS430(18-0)ステンレス。これは磁石がちゃんとつきます。しかし鉄に比べて全然錆びにくいので、冷蔵庫のドアパネルなどによく用いられていますし、IH(電磁調理器)対応の鍋などでも使われていることがあります。冷蔵庫の場合なんかはかえって磁石がついてくれたほうがありがたいので、そういうステンレスを使っているわけですね。
SUS316に磁石が付く!?
ところで以前、こんなお問い合わせをいただいたことがあります。
「SUS316で出来ている製品なのに、磁石が付く。これはSUS316ではなく、SUS430など耐蝕性の低い素材で作られているのでは?」
当社としては「そんなバカな」という思いから、使用している材料の製造元である日本冶金工業にも問い合わせたところ、以下のような回答が返ってきました。

この回答でも、SUS316でも加工硬化などによって磁性を帯びる場合があり、どんな場合でも磁石が付かないというわけではないということが確認できました。400系のステンレスほどにしっかり付く感じではありませんが磁石が付くことは確かです。
耐蝕性に優れるSUS304や316などのオーステナイト系ステンレスと、SUS430などのフェライト系・マルテンサイト系ステンレスを見分ける方法として半ば常識化しているのが「磁石が付くか付かないか」で、これにならえば当然のお問い合わせです。
加工硬化と磁性の関係
加工硬化と磁性が関係しているということは、底部と渕部で磁性が同じでないことからも分かります。容器状に絞り加工後の製品では、元の板状態に近い底部ではほとんど磁性が出ず、組織を大きく変形させている=加工硬化が進んでいる上渕部ほど、磁性が強くなっています。→絞り加工と加工硬化参照
絞り加工は折り曲げなどに比べて金属の組織が大きく変形させられている分、加工硬化も大きく進んでいます。その結果として曲げなどでは磁性を帯びないようなSUS304やSUS316でも磁性が出てしまうのではないかということが考えられます。
磁石が付く=耐食性が低下しているか?
SUS316など、元々磁性がない材料も加工によっては磁性が出ることは分かりました、それによって耐蝕性がなくなったのか?という点が一番気になる点ですが、これについて実際にソースを入れて放置して実験してみましたが(※1)ちゃんと持ちこたえることから、磁性を帯びてもSUS316の耐蝕性が損なわれていないことを確認しました。
※1実際にお使いいただく場合はできるだけこまめに清掃・乾燥させてお使いください。


